凶(まが)れぇー!


 劇場版『空の境界 第三章 痛覚残留』を見て来ました。立ち見もバリバリ居て、翌日・翌々日も「満席です」と受付で応対していたため、飛び込みで見るのは厳しそうです。早めのネット予約をお薦めします。
 今作は浅上藤乃能登麻美子の正常で狂っているキャラが冴えている。藤乃の居場所に、よく乏しいヒントで辿り着けるものだが、式が上着に腕を通して出動する場面で、気分は仕事人。魔眼対決は圧巻で、台風の迫る橋上での戦闘はスペクタクル。現実ではありえない映像である 人間の手足が捻じ曲がる過程や見えない力を受けて崩れる構造物の動きも良く出来ている。あーなたの腕に直撃よ! 血塗れバトルで、藤乃に片手で掴みかかる時はナイフを咥えている式の描写も納得のアクション。夕焼けの赤い記憶、幼い日の手の傷、体育祭で挫いた足と先輩との思い出、そしてブロードブリッジの燃える炎の照らし出す橙色。手の傷は式の切る能力、捻った足は藤乃の歪曲能力を彷彿させる。被害者で加害者の藤乃、復讐に怯え逃亡中の啓太(「少し黙れ」とメガネを光らせて反感を持ちながらも)の両方救いたいと思う幹也は苦労人。藤乃の友人で、幹也の妹で、橙子の弟子なのに、鮮花が完全に部外者だよなー。解説橙子さんパートがちょっと多めな気もするけど、制作サイドの分かり易くという配慮なのだろう。本編後に流れる主題歌「傷跡」も切ない曲で心に残る。受信チャンネルの話とか、浅神〜浅上のところは省略されているが、単品としても、サスペンスあり、アクションあり、悲哀ありと面白い作品に仕上がっていると思います。
[色々]おまえが堕ちろ(※第一章を見に行った時の記事 1/31)
[色々]私は、おまえを犯したい (※第二章を見に行った時の記事 2/8)
劇場版「空の境界」公式HP